白緑蝶"ever since【続】
「あっ、そうだ」

指輪をケースに戻さなきゃ。

私は涙を拭い、指輪を外そう
とした。

「えっ

 ちょっと待って・・・」

私は急いで洗面所に向かい
石鹸を指につける。

むくんだ指、指輪は抜けない

「うそでしょう?

 どうしよう」

引っ張っても回しても
外れる気配はなし。

「もうー、ほんとバカ」

薬指に、指輪はまだ残る。

途方にくれてケースをただ
見つめるだけの私。

ガチャ・・・

ドアが開く音がする、私は
慌ててソラのジャケットに
ケースを戻した。

左手を隠す、右手。
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