白緑蝶"ever since【続】
「だいじょうぶだってば」

咲の腕に触れる私の手を
解いて歩き出す咲は案の定
倒れそうになる。

「危ないぞ」

瀬名さんに支えられた咲は
彼に抱きついた。

「サキ?」

瀬名さんの胸に顔を埋めてる
咲の悲しい声。

「あったかい
 
 生きてるっていいね」

「あっ
 
 ごめん、サキ
 気づいてあげられなくて」

「気分悪いと思ったら
 雪、降ってるし・・・」

そう、今日は咲の亡くなった
彼氏の命日。

急に降り出した雪に、バイト
帰りの原付がスリップして
彼はこの世を去った。

「ごめんなさい

 大丈夫だから・・・」
< 367 / 638 >

この作品をシェア

pagetop