白緑蝶"ever since【続】
「ユラ

 ちょっ、待てよ」

私は、横断歩道へと駆けて行き
人ごみに紛れる。

「あの、バカ・・・」

人と人の間をすり抜けて肩が
ぶつかり合う衝撃さえ何も
感じないまま、私は駆ける。

別れの言葉を貴方から聞く
ぐらいなら、逃げ出したい。

その一心でどこへ向かうでも
なく、私は・・・

「おいっ、待てよ」

私の左腕に触れる人がいる。

私が、その手を解こうとしても
ぎゅっと握り締められて貴方は
解いてはくれない。

歩む、私の足

こめる、貴方の手の力

「いい加減にしろよ
 
 何やってんだよ」

怒鳴る声に私は立ち止まる。
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