嘘偽りの愛しい体温-Ⅱ-


明くる日の帰宅途中、サングラスの男がマンションの下で不意に私の手首を掴み顔を覗き込まれた



「やぁっ!」


「あんた…彼氏に愛されてないんじゃねーの?」



大声を出して叫ぼうとした矢先、男の口から思ってもいない言葉が紡がれる


今、何て言ったの?


どうして見ず知らずの他人にそんな風に言われなきゃいけないの?



「…離して」


「嫌だね」



恐怖心と苛立ちとが複雑に絡み合い、ドキドキと鼓動がうるさくなって行く。



< 162 / 308 >

この作品をシェア

pagetop