私は猫



いつも嵐の中で振り回されているような子だった。



しっかりと立ち上がっているのは大変だって知っていたから。



巻き込まれ、流されていく自分。



いつしか私はすっかり自分をなくしていた。



でもどこかで変わらなきゃって思ってた。



雨に濡れるのが慣れていなかったあの頃。



まだ空を眺めることに何の感動もしなかったあの頃。



私は大きな荷物を抱えて、東に逃げ出した。






***






私は仲島日向(ナカジマヒナタ)、19歳



高校を卒業してすぐ私は上京した。



荒れた父親のせいで家族はみんなバラバラで



それに嫌気がさした、という理由で。



だけど高卒ではなかなか就職先が見当たらず



只今、職業はホステス。




その仕事が決まったのも今日みたいな台風の日だったっけ。



勢いでなんの準備もせずに飛び出してきた私。



駅で大きなカバン一つで空を遠く見上げてる私に



お店のオーナーであるママが声をかけてくれたのだった。



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