Christmas present for you!
吐く息に乗せて
言いきった後


沈黙が二人を支配した


指輪を見つめたまま
何も言わない愛梨


指輪を差し出したまま
どうする事も出来ない俺



…もしかして…

俺…振られた…?



嫌な考えがよぎった時


そっと
震える手が
指輪を握る俺の手に添えられた


ハンバーグみたいにふわふわで
白い小さな両手が
俺の手を包む



「…よ、喜んで…。

結…婚…します。」


そして
長い沈黙の後


小さな小さな
蚊の鳴くような声が
返ってきた


それは

初めて会った時のように
小さくて
か細い声だったけど


今の俺には
何よりも愛おしくて
大好きな声だった



< 62 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop