とある僧侶と不遜な僧侶
「ちょっと薄いね……どれくらいで封印が解けそうとか分かるかな?」

「いやぁ……ちょっとそこまでは分からないっすね。さすがの俺様でも」

(いちいち癇に障る奴だなコイツは。一言多いんですよ)

 私が心の中でそう呟いた時、和尚様の口からとんでもない言葉が飛び出した。

「そうかい……じゃあ……」

「二人で旅をしてきてくれないかな?」

 唐突な言葉に、時間が止まる。
 あの弥昼でさえも、真顔になって黙った。
 
 『……は?』

 弥昼と私の声が初めて重なった。
 
 一分経ってやっと言えたのがこの一言くらいだったのだから、皆さんにも私たちの心情を判ったいただけると思います。

 私たちが理解しようとしていないのを悟ってか、和尚様はもう一度子供に言って聞かせるように、ゆっくりと話した。

 「うん、だからね。旅してきて欲しいの」

 半ばあきらめて、聞く。

 「……日帰りですか?」
 
 「ははは、そんなわけないじゃない」

 「ですよねぇ~……何日ですか?」

 あ~!!せめて1日って言ってくれ~!!!
 こんな男と1日以上一緒にいるなんて耐えられないんですよっ!!

 「さあ? 何日だろう?」

 『はっ!?』

 また二人の声が重なる。

 「キミ達にはね、この巻物の封印をしてきて欲しいの」

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