とある僧侶と不遜な僧侶
旅はミチズレ世はナサケ(仮)
こんなにも澄んでいる空は久しぶりだった。
けれど、弥夜の心は曇天どころじゃ収まりきらず、黒雲と雷雨にまみれていた。
打って変わって、弥昼はこの世のあらゆる雲を吹き飛ばしたように晴れ晴れとした顔をしていた。
今日は、出発の日。
誰の見送りもなく、閉じられていく阿弥陀寺院の門を名残惜しく、恨めしく見つめながら弥夜は大きくため息をついた。
そんな弥夜を横に見ながら、弥昼は少し大げさに言うように話しかけた。
「それにしても見送り誰もいないとかってありえなくないっすか?」
「……私達が巻物を持ってることも、私達が封印し直しに行く事も和尚様と私達だけの秘密なんですよ? だからこそ、こんな夜が明けたばかりの時間に出発するんです。見送りも糞もないでしょ」
「糞って……先輩、何でそんなにテンション低いくせに荒れてんすかぁ? もっと楽しく行きましょうよ~!」
(そりゃお前はウキウキだろーよ! このドすけべが!!)
心の中で弥夜はそう毒づくと、気を晴らすように一息ついて颯爽と歩き出した。
「行きますよ!」
「へいへ~い!」
けれど、弥夜の心は曇天どころじゃ収まりきらず、黒雲と雷雨にまみれていた。
打って変わって、弥昼はこの世のあらゆる雲を吹き飛ばしたように晴れ晴れとした顔をしていた。
今日は、出発の日。
誰の見送りもなく、閉じられていく阿弥陀寺院の門を名残惜しく、恨めしく見つめながら弥夜は大きくため息をついた。
そんな弥夜を横に見ながら、弥昼は少し大げさに言うように話しかけた。
「それにしても見送り誰もいないとかってありえなくないっすか?」
「……私達が巻物を持ってることも、私達が封印し直しに行く事も和尚様と私達だけの秘密なんですよ? だからこそ、こんな夜が明けたばかりの時間に出発するんです。見送りも糞もないでしょ」
「糞って……先輩、何でそんなにテンション低いくせに荒れてんすかぁ? もっと楽しく行きましょうよ~!」
(そりゃお前はウキウキだろーよ! このドすけべが!!)
心の中で弥夜はそう毒づくと、気を晴らすように一息ついて颯爽と歩き出した。
「行きますよ!」
「へいへ~い!」