とある僧侶と不遜な僧侶
「ここは女人禁制だと何度言ったら解るんです!? このカラス頭!!」

「俺……髪黒くないけど?」
 
 呆れた……!
 不思議そうに小首を傾げるこの男にもう一発入れてやろうかなというこみ上げる怒りを抑えて、ここはひとつ冷静に行かなくては。

「……ゴホン! 訂正します。この、鶏……いえそれでは鶏に失礼ですね。では、ミジンコ……いえ、それもミジンコに失礼ですね……よし!!」

「この、弥昼頭!!」

「え? 何それどういう意味?」

「この世にひとつしかない、完璧な馬鹿という意味です」

「ひどっ!! この人めっちゃひどいんだけど!!」

「とにかく、こちらの女性にはお帰り願いますよ」
言いながら、驚いて座り込んでいる女性の腕を持って立たせる。

「別に良いっすよ。ヤルことはヤッたんで」

  ゴンッ!!

「痛ってえ! いちいち殴んなよなァ……」

「うるさい!! 下品ですよ!」

何て事を言うんだ……!! 御仏に使える身でありながら、禁欲を義務としながら……何て、何て……うっ……鼻血出そうになってきた!
 想像してはいけない!! いけないぞっ!!

「僧侶のくせに……ヤ……ヤヤヤヤ……ヤッたなどと……」

「何テンパってんすか先輩? や~らし~! むっつり~♪」

   バキっ!!
 
そのムカつくにやけた顔に、蹴りをぶち込む。

「痛ってえ!! いい加減にしろよなァ!! 俺様の素敵な顔が崩れんだろが!!」

すると奴は思わずキレて吠えてきた。

どうやら、奴は状況がよく解っていないらしいですね。カラス頭、いえ、弥昼頭なだけあります。
さて、彼にも解りやすく立場ってもんを教えてあげましょう。
皆様の周りにも要領の悪い後輩がいたら、ぜひやってみて下さいね。

まずは槍を片手に構えてにこりとほほ笑むことから始めましょう。
そしてそのまま優しい声から徐々にドスを効かせて言い放ちましょう。

「ははははっ! 少しくらい崩れるからなんです? 何なら今すぐ元に戻らないように切り刻みましょうか?」

「ごめんなさい。タメ口使ってごめんなさい」

するとほら、この通り! 見事な土下座を拝めます。













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