とある僧侶と不遜な僧侶
午前10時を少し回った頃、私は和尚様の部屋の前にいた。
「遅い !」
憤りを感じながら奴を待っていると、鼻歌まじりに姿を現した。
あの少し長いサラサラした赤髪が勘にさわる。
「遅いですよ、何してたんです?」
弥昼をたしなめると、奴は意外そうに「え? 先輩待っててくれたんすか?」と驚いた。
「ってきりもう部屋に入ってんのかと思ってましたよ~ 」と言って笑う。
半ば呆れながら膝をついてふすまを開けた。
「和尚様、弥夜です」
「おお、弥夜と弥昼! お入りなさい」
中には卓上机の前に正座している和尚様がいた。
和尚様は初老の優しそうな顔立ちでやせ形、当然ながら坊主頭である。
そもそも髪を剃っていない僧侶なんて弥昼くらいなものだ。
(いつか絶対剃らせてやる!)
何度言ってものらりくらりとかわす弥昼を頭の片隅で思いだし、そう密かに決意した。
そんな時、和尚様が口を開いた。
「君達は、東再寺知っているよね?」
「はい」
「何だっけ?」
……っこの男は!!
「あなたって人は! 何でそんなことも知らないんですか? 東再時といえば、一般人だって知っているほどの大きく有名で規律正しい名門じゃないですか! ましてや、あなたは僧侶なんですよ!? もっとちゃんと」
「まあまあ、弥夜くん落ち着いて」
説教を食らわそうとしたら和尚様にやんわりと止められてしまった。
「甘やかしたらダメです!」と言おうとしたら和尚様が信じられないことを口にした。
「弥昼くんも冗談は程ほどにね。君が、東再寺を忘れるがないでしょう。だって」
「ご実家なんだから」
「遅い !」
憤りを感じながら奴を待っていると、鼻歌まじりに姿を現した。
あの少し長いサラサラした赤髪が勘にさわる。
「遅いですよ、何してたんです?」
弥昼をたしなめると、奴は意外そうに「え? 先輩待っててくれたんすか?」と驚いた。
「ってきりもう部屋に入ってんのかと思ってましたよ~ 」と言って笑う。
半ば呆れながら膝をついてふすまを開けた。
「和尚様、弥夜です」
「おお、弥夜と弥昼! お入りなさい」
中には卓上机の前に正座している和尚様がいた。
和尚様は初老の優しそうな顔立ちでやせ形、当然ながら坊主頭である。
そもそも髪を剃っていない僧侶なんて弥昼くらいなものだ。
(いつか絶対剃らせてやる!)
何度言ってものらりくらりとかわす弥昼を頭の片隅で思いだし、そう密かに決意した。
そんな時、和尚様が口を開いた。
「君達は、東再寺知っているよね?」
「はい」
「何だっけ?」
……っこの男は!!
「あなたって人は! 何でそんなことも知らないんですか? 東再時といえば、一般人だって知っているほどの大きく有名で規律正しい名門じゃないですか! ましてや、あなたは僧侶なんですよ!? もっとちゃんと」
「まあまあ、弥夜くん落ち着いて」
説教を食らわそうとしたら和尚様にやんわりと止められてしまった。
「甘やかしたらダメです!」と言おうとしたら和尚様が信じられないことを口にした。
「弥昼くんも冗談は程ほどにね。君が、東再寺を忘れるがないでしょう。だって」
「ご実家なんだから」