とある僧侶と不遜な僧侶
「……今、何て言いました?」

「ん? だから弥昼くんは東再寺の和尚様のご子息なんだよ」

「ん!? え?……ちょっと待って……」

頭がくらくらする……。
落ち着け私! 

「え~と、冗談?」

「なわけないでしょ」

和尚様は冷静にきっぱりと突っ込んだ。

「ですよね~」

「……って、この馬鹿が!? この非常識極まりない僧侶がですか!? だって東再寺の和尚様といえば厳格で聡明で有名じゃないですか!?」

あまりのことに、思わず和尚様の前で暴言を吐いてしまった私に、和尚様は緩やかな口調で私をたしなめた。

「弥夜くん、そんな言葉使いしてはいけませんよ。それに、人を見た目や表の行動から判断してはいけません。現に弥昼くんは難関と言われている宮廷につかえる官吏の試験を十五歳の若さで突破したことだってあるんですよ」

「へ?」

「ああ、あれね。実家継ぐの嫌で受けたけど、入ってみたら家よりうるせえんだもん!一日で辞めたっつの」

次から次に出てくる知りもしたくない弥昼の過去を知り、思わずフリーズしてしまう。
そんな私に構わず、弥昼は「はははっ」と乾いた笑いをもらした後

「それに親父なんて外面が良いだけだっつの!」と皮肉を吐き捨てた。

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