とある僧侶と不遜な僧侶
「……話を戻して頂けますか?」

なんだかすごく疲れた……。

これ以上知りもしたくない弥昼のことで神経を乱されたくはない。
私は和尚様に話を促した。

「ああ、そうだね。実はね、その東再寺から預かっている物があるんだよ」

和尚様はそう言うとおもむろに立ち、奥のふすまを開けた。
一番奥から何かを取り出し、私達の前にスっと差し出す。

それは黒い重箱だった。

「弁当でも入ってんすか?」

弥昼が横で呟くようにアホなことをぬかしたが、私は一切突っ込まないからな!

「これは何ですか?」

私が真剣な面持ちで和尚様に訊く横で、弥昼が「せんぱ~い突っ込んでくださいよ~」とさみしそうに鳴いたが、私は一切突っ込まない。断じて突っ込まない!!

「これはね……」

和尚様が言いづらそうに重箱の箱を開けた。

「……巻物……ですか?」

「巻物っすね~」

「うん。巻物だね」

重箱の中身は二本の巻物だった。
一本は真っ黒な生地の巻物で、もう一本は薄汚れた白い生地に上と下に青い線が入っている巻物だった。

「これが何か?」

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