モンスターハンター“敬憧の背中”
 
「ん?こいつぁ……」

ニトロの大剣をヒョイと持ち上げ、まじまじと眺める熊親父。

「なんだよ?」

「………」

「おいっ?!」

「………」

熊親父は答えない、飽きることなく、食い入るように大剣を眺め続けている。

「……フー、どしたの?この人」

肩を竦めるニトロ。

「さぁ?」

同じく肩を竦めるチキと、二人の様子を見て笑みを零すヒューズ。

「………なぁ少年」

ニトロのことは見ずに、大剣を見ながら熊親父が声を掛けて来る。

「ん?なんだよ」

「コレ……どっから手に入れた?」

「俺の師匠から貰ったもんだけど?」

「師匠?誰だ?」

「名前は知らない、皆からは教官って呼ばれてる人だ」

「教官……ねぇ」

そうポツリと呟いて、再び黙る熊親父。

「なんなんだ?」

「おう少年、オメェ、こいつちゃんと小まめに手入れしてっか?」

「あ……そういやここ最近研いでないな」

「バカヤロウ!
武器の手入れもハンターの仕事の内だぞ」

「う〜ん、面目ない」

「フン、初来店ってことで特別サービスだ
俺が研いでやるよ」

「!
いいのか?」

「ああ、オラ、オメェはとっとと採寸して来い」

「ああ、ありがとう」

ニトロは熊親父にそう礼を言うと、チキと一緒に店の奥へと歩いて行った。
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