モンスターハンター“敬憧の背中”
 
「………」

開いた口が塞がらないというのは、正に今のヒューズの状態を言うのだろう。

戦い始めて数分が経ち、ヒューズは前言通りに手を出さず、遠くからニトロを品定めしていた。

そして、ヒューズはニトロの戦いぶりに驚嘆する。

「……スゲェな
予想外だ……」

ポツリ、と、誰にともなく感想を漏らした。

意識して発した言葉ではない、思わず出てしまった……そんな言葉だった。

「あまりに……酷すぎる」

ヒューズは驚いていた、ニトロのあまりにもぶざまな戦いぶりに……。

未だに、敵に攻撃を一度も当てていない。

襲い来る『イャンクック』の攻撃を、命からがらなんとか避ける。

更にお粗末なことに、未だに大剣を背から抜いてすらいない。

いかに優れた武器を持とうとも、これでは宝の持ち腐れだ。

武器を背負い必死に走り回るその姿は、もはや滑稽ですらあった。

「……ハァ
俺の見立て違いだった、か」

ため息と共に立ち上がり、背中から愛用のライトボウガン《ショットボウガン・紅》を抜き放つ。

「これ以上見ても意味ねぇだろうし……
しゃあねぇ、俺がやるか」
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