モンスターハンター“敬憧の背中”
そうして、見極めを始める。
回避に専念すべき攻撃は何か、逆に、反撃可能な隙がある攻撃は何か、と。
攻撃時に隙ができるということは、戦いにおいては避けられないこと。
基本的に体力で勝る大型モンスターを相手にするのだ、その隙を見極めて戦わねば、非力な人間には勝ち目がない。
「尻尾回転攻撃は左回転のみ、奴の左側をキープすれば当たらない……」
そして、観察して得た情報を口にする。
自分の口で言葉を発し、自分の耳でその言葉を聞く、そうすることによって、情報を確実に自分のものにしていく。
把握した相手のスペックと自分のスペックを比較し、取るべき戦略を決定する。
(敵を知り己を知れば百戦危うからず、だ!
相手に対して自分ができることをしっかりと把握しろ!)
「わかってるよ、教官」
ニトロは笑みを零す。
芝居がかった教官の話す姿を思い描くと、つい笑ってしまうのだ。
「……よし」
数分に渡り収集した情報を統合し、ニトロは勝利への戦略プランを組み上げた。
後は、イメージ通りに体を動かす作業のみだ。
右手で背中の愛剣《ブレイズブレイド》の柄を握り、ニトロは『イャンクック』に向かって駆け出した。
ニトロの怒涛の攻撃は、ここから始まる。