恋する猫は、月の下~母さんの昔話~
「ところで、聞きたいことって?」

清汰に聞かれ、リクは縁側に向けていた視線を慌てて切り上げました。


「あの、それが…お屋敷のことなんですが…」


「屋敷のこと?」

「はい。なんだか、最近にぎやかというか、楽しそうというか…」

「楽しそう?」

清汰はリクの言葉の最後を無表情に繰り返します。

リクは自分が何かよくないことを聞いている気がして、持ち合わせの少ない言葉を、頭の中から必死に探しました。

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