恋する猫は、月の下~母さんの昔話~
静かに目を伏せた清汰に、リクは妙な胸騒ぎを感じました。

「清汰さん…?」

リクは優しく声をかけました。

「清汰さんは、楽しくないのですか?」

リクの言葉に瞳をあげた清汰は、弱々しく答えました。

「リクさん。僕の悩みを聞いてもらえる?」

リクは、自分だけに許されているような清汰の頼りなげな表情に

なつかしさを感じながら、こくりとうなづいて見せました。

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