恋する猫は、月の下~母さんの昔話~
「実は、僕の縁談が決まったんだよ」

「はぁ…エンダンですか?」

「そう。お嫁さんをもらうってことだよ」

「オヨメさん…?」

そこまで言って、まだしっくり話の読めないリクに、清汰は軽く微笑み言いました。

「この屋敷に一人の女の人を迎え入れ、みんなで大切にしていくってことだよ」

「…みんなで、ですか…?」

「そう。でも僕が一番その人を大切にしなくてはいけないんだ。僕のお嫁さんになる人だから」


「そ、ぅなんですか……」

リクのどこか力の抜けた受け答えに気づかず、清汰は話を続けました。

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