恋する猫は、月の下~母さんの昔話~
「僕もいい年だしね。この商売も好きだから、何の問題もないんだけど…」


清汰は言葉をいったん切ると、ためいきをひとつ吐き

「自信がないんだ…」

また目を伏せました。
清汰の閉じたまぶたが、あまりにも静かで

もう二度と開かないのではないかと思うくらい、まるで時が止まったような錯覚をおぼえ、リクは悲しくなりました。

思わず清汰の頬に、手を伸ばしかけると
< 40 / 72 >

この作品をシェア

pagetop