恋する猫は、月の下~母さんの昔話~
「でも、僕は…その猫を守ってやることが、出来なかった…


そんな人間が…

一人の人の一生を幸せにするなんて、出来るんだろうか…


あの猫は…


僕の猫で、幸せだったんだろうか……」


苦しそうに息をつまらせ、途切れる言葉を必死につむぎ

額をかかえこんだ手の間から、一筋のしずくがこぼれた瞬間

リクは清汰をしっかりと抱きしめていた。
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