恋する猫は、月の下~母さんの昔話~
やがて、屋敷では輿入れ(コシイレ)してくる花嫁の話題でもちきりになりました。


「なんでも、目の覚めるような美しい方だとか…」

「髪はしなやかに長く、艶やかな黒髪で、姫君のようだとも聞きましたよ」

「噂では、お人柄も素晴らしいとか…とにかく一度見たら忘れられない方だそうですよ」

屋敷の人達は、感嘆の吐息をまじえながら

それぞれに持ちよった、花嫁の噂を引っ切りなしに言い合いました。

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