black beifry
第一章。ー夢幻ー
視界と聴覚は、爆音と飛び交う魔法による砂埃のせいで最悪だ。
霞む僕の瞳に映るその人は
苦しみと悲しみを耐える様な瞳で
真っ直ぐに僕を見つめてる。
何がそんなに辛いのか?僕には解らなくて・・・。
だからその人の発する言葉を待った。
暫くするとその人は、震える唇をゆっくり動かした。
「ごめん・・。」
泣きながら謝ってる。
こんな時に不謹慎だけど
(綺麗だな・・)
そう思った。
「ごめん・・・」
何度も謝るその人を抱きしめて
(大丈夫だよ)
安心させたいのに、僕の腕は僕の意識とは違って
全く動かなくて、ならばせめて言葉で伝えたいのに
ちっとも口も動かなくて
「ヒューヒュー・・」と、音に成らない息が出るだけだ。
なんて役に立たない僕の体。
それが悲しくて涙が漏れる。
その人は一層深く悲しみを讃え表情を暗くする。
「ごめん・・・」
その人は唇をキツク噛み締めてるから血が出てる。
誤解されたままじゃ、嫌だ。
(違う。そうじゃないよ。)
フルフルと緩く首振っても、その人は、ちっとも解ってクレナイ。
その人が手に魔力を纏ってく。
僕はそれの意味を知ってる。
(やめて!!)
心の叫びはその人には届かない。
「・・・なぁ。*******]
何かを呟いて、その人は、僕の目に手を翳した。
(やめて!!!!!消さないで!!!!嫌だぁぁぁ!!!)
声に成らない僕の悲鳴は、真っ暗になる視界と共に掻き消され
僕の意識も闇の中に落ちて行ったんだ。