恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
「もう、怖くないか?」

黒兄が金色の瞳を細め、最近手入れをさぼっていた、あたしのぼさぼさの毛並みを丁寧になめてくれた。

とくにひどい背中のあたりを、念入りに毛づくろいされ

あたしが「ニャァ~」と甘ったれた声を出すと

しま兄のしっぽがまたぴしゃりと顔面にたたきつけられた。

「いたぃ…」
< 10 / 143 >

この作品をシェア

pagetop