恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
「花名」

恵都は息を切らし、あたしに駆け寄ると

奪うような勢いで抱きあげ、きつく胸に抱きしめた。

「あたしの…こと…?」

恵都の腕の中から、自信なさげに聞くあたしに、恵都は深くうなづいた。


「ごめん。言うのが少し遅すぎたね。大切なものを、もう二度と忘れたくなくて

もしまた、忘れてしまったらと思うと…怖くてなかなか呼べなかったんだ…」




花名


きみを花名って


呼んでいい?




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