恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
体の奥から、今まで生きて感じたすべての感情があふれ

流れ出ていくようだった。


間違いなく何かを失おうとしているのに

喪失感も空虚感も感じない。



ただ自分の強さを確信したような、静かな自信と期待に満ちている。


月の光に身も心も溶けていく。


ゆらゆらと実体さえ、あやうい不思議な感覚の中で


恵都の声が聞こえた。
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