恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
あたしが黒猫を撫でていると

「こんにちは」

不意に誰かが声をかけてきた。

振り向くと見知らぬ青年が、あたしを見ている。


誰だろ…

いきなり声をかけられたのに、驚きよりも嬉しさが込み上げてきた。

思わず、じっと見つめると、彼もまた、あたしを見つめてくる。


青…?

それとも、灰色?

どちらにも見える、不思議な色の瞳が綺麗で


あたしは、彼が誰なのかわからないまま

ずっとみとれていた。

なつかしくて

嬉しくて

少し、寂しい気がした。

< 132 / 143 >

この作品をシェア

pagetop