恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
偶然、鉢合わせたしま兄が、片目をすがめ渋い顔をしている。


母さんのもとを離れてから、いまだにネズミ一匹どころか

バッタも満足にとれないあたしに、ネズミ取りの上手なしま兄は、かなり呆れている。


「オレが教えてやるから、ちゃんと見とけ」

しま兄があたしに背を向けた瞬間

「ご、ごめんなさい!」

あたしは猛スピードで、その場から逃げ出した。

< 14 / 143 >

この作品をシェア

pagetop