恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
ぞくりと刺すような強い刺激に、背筋が痛む。

同種とは明らかに違う気配に、身動きが出来なくなる。


しま兄に、おまえは鈍いとよく言われるけど

今ほとそれを痛感したことはない。

雲に気をとられていたせいもあるけど

気づくとすでに、至近距離に人間がいた。


人間は黙って、こっちを見つめている。
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