恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
けれど同時に、胸をしめつけるような悲しい色にも思えた。
あたしは、人間からそっと目をそらし


どうしよう…

自分の身のやり場に困った。

頭では、今すぐ、ここから逃げ去るべきだということはわかっている。

でも、なぜか、あたしはこの人間のそばを離れられない。


怖くて動けないわけじゃない。

なんで…?

その答えを差し出すように

彼の口元からささやくように優しい声がもれた。


「マシロ…」
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