恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
小さい頃に聞いた昔話だから、詳しい内容は忘れてしまったけど

母さんが話終わると、あたしはいつも泣いていた。

とても、寂しくて悲しい話だったような気がする。

遠くかすむ記憶の中に、今でも恐怖感が残っている。

知るはずのない、一人ぼっちの匂いが体中にからみつくようで

あたしはただ、震えていた。

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