恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
「チビ、強くなりたいか?」

ふと耳元に響いた黒兄の声で、あたしは顔をあげた。


いつの間にか、そばにいた黒兄が、銀色のひげをあたしの頬に近づけ

「もし、強くなりたいなら…

恐怖の中で眠っている真実と向き合うことだ」

優しげに細めた金色の瞳で、あたしの中の何かを見透かすようにじっと見つめた。
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