恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
「実は、どうしても描けない絵があるんだ…」

恵都が二度目のため息を吐き、つぶやいた。

「描けない絵?」

「そう…その絵が描きたくて絵かきになったはずなのに、どうしても思い出せない…」


切なげに眉をひそめる恵都に、あたしは何かしたくて

無意識に手足の先にぐっと力が入った。
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