恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
あんなに恵都のために、役に立ちたいと思ったのに

自分のふがいなさが情けなくなる。


それでも、恵都の視線があたしの毛先の一本一本にからみつくたび


嬉しくて、体がどんどん熱くなっていく。


恵都が白い絵の具を手にとると、心臓が勢いを増す。

しっぽの先まで、その鼓動が伝わってくる。

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