恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
大嫌いだった背中の模様。

見るのも、見られるのも嫌だった。


今でも恵都に撫でられると、そわそわと落ち着かない。

けれど、その何倍もの心地よさに、もっとしてほしくて

うっとり目を閉じてしまう。


恵都が気に入ってくれたなら

この斑点模様はあたしのものでいい。


あたしだけの宝物になる。


『花びらみたいだ』


恵都の言葉が胸に響く。

あたし、恵都の花になれたらいいのに…


いつも恵都のそばで


恵都のためだけに咲く花……
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