恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
あたしが、目を固く閉じたままおびえていると


「しま、今日は満月だ。チビのそばにいてやれ」

黒兄がそばへやって来て、しま兄を軽く睨んだ。

「…ったく、チビは臆病すぎるんだよ」

しま兄も、やれやれと体を起こし、あたしの近くに来てくれた。

あたしは黒兄としま兄が体を丸めてできた、真ん中の空間で落ち着いた。

しっぽの先までかたかた揺れていた震えは、いつの間にかおさまっていた。
< 9 / 143 >

この作品をシェア

pagetop