恋する猫は、月の下~花の名のキミ~
決して手に入らぬものを、激しく求めるように

何度も、何度も

切なげに、呼ぶ。


あたしが恵都のふところに、そっと入り込むと


恵都は無意識にあたしを抱きしめ、落ち着いた。


恵都が忘れているものは


恵都にとって、どれほど大事なものなのか


あたしはそれを、全身で感じとっていた。
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