紅い私書箱 -短編-
【妃 夏奈子】

…送信




悠紀子は、
送信ボタンを押し、

気やすめに思う…




【送信しました

願いが叶うと…
いいですね】


えっ…



画面に出た文字を
真に受けそうになった自分に…
次の瞬間…
笑いそうになり…





―面白い…―





悠紀子は、

再び

憎き名前を入力した…




【新島 芳江】

送信


【金山 麗】

送信







【送信しました

願いが叶うと…
いいですね】







ふっ…ふっ…ふっ…


ざまぁみろ…







―はぁ~……こんな…
子どもだましに…―








悠紀子は、

いつも笑顔で声をかけて、自分を救ってくれる、
同僚の

白丘 俊介

を思い出し、

唯一の励みである彼を思いながら、


また

憂鬱なオフィスへと

戻った ―――
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