紅い私書箱 -短編-

「あれっ」



声がしたので、

悠紀子は、

徐に
その方を見た。



「あっ…」


「まだいたのかい?」


「あ…はい…
お疲れ様です」


声の主は、

佐々見部長だった。



「君は、

もの静かだが、

いつもよく頑張ってるねぇ」



-えっ…-




影の薄い自分のことなど
気にも留めていないだろうと思ってた悠紀子は、
驚きながらも同時に
嬉しさを感じた。



ちゃんと
見てくれている人はいるんだと、

この会社に入って

初めての嬉しさ
だった。


その嬉しさが、

無意識に顔に出る…




「あ、…ありがとうございます、

…恐縮です」



「なんだ~君、
笑顔が素敵じゃないか」


「え、…」



言われ慣れていない悠紀子は、
どう返したら良いのかわからず、
戸惑いを隠せず…




そんな悠紀子に、

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