あかいさくら
 それを知ったのはつい数週間前のことだった。
 最後にあの二人と会ったときのことを報告した流れで、笑いながら、

「彼氏かっこいいねって言われたよ、違うのにね」

 と言ったら

「言ってなかったか? じゃあ付き合おうよ」

 ――と、あっさりと返された。
じゃあ付き合おうとか、どうなんだろうと思いつつも嫌だと思えなかったからオッケーした。晴れて正式なカップルになった。なんていい加減なんだろう。

 タケちゃん曰く、秋で二年目に突入するらしい。
 毎週のように私の好きな映画とか、美術館とか、庭園とか誘ってくるから単に趣味の似た腐れ縁と認識していたけれど、もしかしたら私は酷いことをしていたのかもしれない。けれどお互い様ということにしておこうと勝手に決めた。
……でないと辛い。

 結果、この習慣はデートという名前に変わって続いている。前と変わったのは主にホラー映画とか、ライブとかといったタケちゃんの本当の趣味も出掛ける行き先に加わったことだった。

 多少日常に変化はあったけど、なんとなく過ごして、気付けば二月。

 いつものように公園で待ち合わせて、やはり私は予定より早い時間に辿り着いた。今日は一段と冷え込んでいて、いつもより厚着をしてしまった。

 公園にある梅を見て、双子に初めて出会ってから後もう少しで一年になることに気付いた。赤い花の咲く木はまだ蕾のままで、あともう何日か必要だ。他の白い花の木は、もう咲いてしまっている。
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