恋愛アシンメトリー!
柔らかく微笑むシローさんは本当に優しげで、何だか胸の奥で何かがギュッと縮むような掴まれるような…よく解らないけど、何かが締め付けられる感覚を覚えた。

「マスター、会計っ」
「あ、僕が出しますよ」
「大丈夫、会員カードが有れば珈琲、紅茶無料です」

シュピンとSAMURAIのゴールドカードを見せると、笑われた。
しまった、早速馬鹿を披露してしまった。

「じゃぁ、お言葉に甘えて」

ふっと笑うシローさんは、何だか可愛いとも形容出来る気がした。
何だろう、男の人ってこんなに優しいもんだっけ?なんて考えが頭をグルグル回りながら、会計を終えると太陽が煌めく外に出た。

「うーん…眩しい…」
「霞さん、夜行性って本当だったんですね」

苦笑するシローさんに、いやぁ実は不眠症なんです!とは言えず軽く笑い返すと、シローさんは苦笑して冗談ですスミマセンと俺の頭を撫でる。

「長い間不眠症で悩んでるそうですね、体は大事にして下さい」

優しい手の感触に、正直に言おう。
完全に俺の心は掴まれる。このままじゃ不味い。
会ってまだ一時間だ。こんな所で陥落する程俺は安い女じゃない筈だ…と信じたい。

それでも、物凄いスピードでシローさんに惹かれているのは事実で、それが嫌じゃないのも本当の事で、悪くないかもなんて思っちゃう辺り…アレ?俺オワタ?みたいな。

「赤井の話しだと、霞さん、重度の不眠症だって…」
「はぁ、まぁ…」

苦笑しながら、心の中であっちゃんに蹴りを入れる。
全く、彼奴余計な情報入れてんじゃねぇよ。

「落ち着いてる時は寝れるんですよ!何か不安を感じたりソワソワしてると寝れないだけで…」
「昨夜も寝れなかったんじゃないですか?」

どんぴしゃり。一瞬、足が歩みを止めた。
この話しはあっちゃんにもまだ言って無いのに。
何故バレた。

「今…霞さん、ソワソワしてると寝れないって言ったから、昨夜もソワソワして眠れなかったんじゃないかなって…なんて僕の自意識過剰です」

朗らかなその笑みに、悪意なんて微塵も無く、俺は珍しく顔を赤くして、自意識過剰なんかじゃないです。だってその通りなんで…。と俯いて返事するより他無かった。

「そっか、良かった…。僕も、不眠症でも無いのにソワソワしてなかなか寝れなかったんで」

一人じゃなかったと笑うその顔は、イケメンなんだけど凄く可愛いと思えた。



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