恋愛アシンメトリー!

「じゃぁ俺とリア充してみるか?」
「残念だが超が付く浮気性のあっちゃんと付き合うくらいなら俺は上野の熊猫に生涯を捧げます」

上野の熊猫なんざ見た事も無いくせにと言われたが、俺にも返す言葉は有るんだからな。

「大体っ、お前三日前に彼女出来たってメールして来たばっかりじゃねぇか!!」

「っち、メールしたの忘れてた俺の落ち度…」

「お前一体何人彼女居るんだよ!!」

思わずドゲシとあっちゃんの背中を蹴飛ばす。

あっちゃんは友達としては最高の奴だが、男としては下の極み。
正しく女の敵その物だ。安心して女友達を紹介出来た試しがない。
紹介した女の子はみんな食われたに違い無い。
食うだけ食って、後は気に入った子にしか声掛けないクセにそれでも寄って行く女共が哀れで仕方無い。
全くモテる男はこれだから…!!

「彼氏欲しいーっ!!」
「だから俺の彼女なっておけば?」
「あっちゃんの何番目の彼女ですかー?」

皮肉を込めてギロリと睨めば奴は気にせず…と言うか寧ろ気付かず、暫しの沈黙の後口を開いた。

「五人目」

「メテオー!!」

正義の鉄槌受けてみよ。
俺はもう相手があっちゃんという事を無視してバックドロップをかます。

「いってぇえ!!」

ゴスンッ!!

鈍い音を立ててあっちゃんが床に着地した。

ふっ、ジ、エンド、オブ、あっちゃん。

女の敵は俺の敵でも有ったか…。
併し、そんなあっちゃんもクリエイター仲間には手を出さない。本人曰わく、仕事に支障を来すからだそうだ。
まぁ、確かにクリエイター仲間同士で集まってチャリティーボランティア企画とかしょっちゅうやるけどさ、そんな中で惚れたの腫れたの破局しただのって話しは正直気分が萎えるから持ち込まないで頂きたいと各自強く願っているものだ。

それはあっちゃんも同じらしくて、そういう問題が起きると苛々し出して手に負えない。
そもそもあっちゃんも元ヤンなんだから、普段の穏やかさが嘘みたいなもんなんだよね。
まぁもうアレは俺達の黒歴史として封印しておかなければならないのだけれど、あっちゃんと来たら時折昔のKONJIKINOAKUMA時代を彷彿させるから困ったもんだ。

金色の悪魔と言えば地元の不良で知らぬ者が居ないくらいの伝説のヤンキー。その実力は、総長を越えるとすら言われたものだ。



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