恋愛アシンメトリー!
尤も、今のあっちゃんの善人面から金色の悪魔なんて二つ名を連想出来る奴なんざそうは居ないのだけれども。

「お前、今余計な事考えてただろ」
「さぁ~何の事かなぁ~」

曖昧に笑いながら俺は心の中のアルバムをパタリと閉じた。

俺の周りはイケメンが多い。
が、難有り物件だらけ。
そんな訳だからさ、一度で良いからまともに恋の花咲かせてみたい訳。
そりゃあ確かに俺自身難有り物件な気もしないでも無いけどさ、それでも俺もうアラサーの26歳。
そろそろ現実見たい訳。

それって駄目かな?

「ああ…一人、お前ん事紹介して欲しい言う奴居たな…」

あっちゃんの唐突な思い出し発言に俺は勿論、誰!?誰!?と喰らい付くに決まってる。

「クリエイター活動中に知り合った、現役小説家」

うんうん、それで。

「『無限回廊の奥の奇跡』ってライトノベル書いた奴」

ま、待て。無限回廊の奥の奇跡…だと!?
作者は若干二十代の精鋭と呼ばれる、『淡路 狼』先生じゃないか!!
無限回廊シリーズなら全部読んだぜ!!
そんな人が俺と!?

「あっちゃんお願い!!会わせて下さいっ!!」
「バックドロップ喰らって腰と首がなぁ…」
「揉ませて頂きます!!」
「今度のオブジェ、運搬担当の男少ないんだよなぁ」
「手伝わせて頂きます!!」
「良し、メール送っておくか。霙からOKが出たって」

ヤッター!!神様有難う!!夢の狼先生に会えるなんてもう俺頑張ります。
このチャンスに賭けますです!!
光栄です神様!!
何て、無宗教論者の家系の娘が言う事じゃないのは解ってるけどさ、俺はさりげなくなんちゃってクリスチャンな訳ですよ。
だからプロテスタント宜しく聖書も賛美歌も持ってます。

ってそんな事はどうでも良い。
あっちゃんのケータイが鳴ると、ビクッと肩が震える。

「あ、もしもしシロー?何時なら空いてんだ?今週の日曜日?馬鹿か明日じゃねぇか」

ギクリと体が震える。
そのシローって人が狼先生なんだろうか…。

「霙、シローが今週の日曜日…ってか明日会いたいつってるけどどうする?」
「バッチOKですと伝えてくれ相棒!」

本当は圭一から映画に誘われて居たが、字幕無し吹き替え無しの洋画を観ていられる程俺のオツムは外国語になれていないから何度も断ってるしもう一度断った所で変わりないだろうと約束を塗り替えた。



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