恋愛アシンメトリー!
「絶対面白いって言ってんだろ!!」
「兎に角他に用事出来たから、日本語で解りやすい映画の時誘い直して!」

俺は無理矢理、圭一との通話を終えれば、タンスの中から服を引っ張り出す。

「あっちゃん、あっちゃん、どんな格好して行けば良いかな?あ、頭は黒ヅラ被るべき?」

俺の普段の格好と言えば、もう明らかにクリエイターって感じ丸出しの独創的な服装か、V盤なんざまるで解らないクセにゴスパンちっくな服装で、髪の毛と言えば前髪も後ろ髪も綺麗なアシメで濃いピンク。
これって、お近付きになるにはちょっと頂けない格好だと思うんだけど。

「ああ、大丈夫大丈夫。何時もの格好で構やしねえって。向こうさんお前の事見た事有るし、奴も著者近影と違って実際パンクロックっぽい服装でバレねぇようにしてっから浮いたりしねぇよ」

「なら良いけど…」

因みに、狼先生の著者近影は顔は写っていないものの、全て着物等の和装だ。
そんな人がパンクロック系ですか…全く想像出来ません。

俺は念入りに明日の勝負服を頭を捻りながら決めて、何度かあっちゃんにチェックして貰う。

「お前さ、スカートとか履けば?」

「う、煩いな…スカート履くと冷えるんだよ」

それから脚に自信が全く無い為、踝まであるロングスカートぐらいしか履かない訳で、そんなスカート履いたら動き難いに決まってんじゃん。

「否、ミニの下にお前が何時も履いてるトレンカ?とかレギンス?とか履けば良いんじゃねぇの?」

そうか、その手が有ったか。

俺は急いで黒に銀の丸いスタッズが付いたトレンカを用意し、心無しか短めのダメージスカートを会わせてみる。

どうかな?なんて恐る恐る聞いて見れば、問題ねぇーよと返って来たので、安堵して明日の服の準備を終える。

後は財布の中身チェック。良し、何とかなりそうな金額は入ってる。
通販でアクセ買っちゃったからその分は抜いて置かなきゃね。

ああもう緊張してきた。どんな人なんだろう。
少なくともあっちゃんみたいな遊び人じゃ有りませんように。
兎に角、こんな乙女心満載な俺は何時以来だろう。
初日から邪魔された事なんて無いもんね。だから今回は本当に後輩達の乱入なんて考えなくて済むし、寧ろ逆に俺がボロ出さないかの方が心配だ。

「ホラ、シローの写メ。顔アップだから髪型とか解り難いがまぁ大体解るだろ」

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