恋愛アシンメトリー!
フィーリングだフィーリングとしきりに呟くあっちゃんの横で、その写メを眺める俺の心臓は跳ねくり返りそうだった。
流石は類友。
あっちゃんもつくづくイケメンの部類に入ると思って居たが、まさかのまさか。
狼先生までこんなにイケメンだったなんて。

俺は画面に釘付けになったまま、勝手知ったる他人の家状態のあっちゃんが暖かいココアを持って来るまでお花畑状態だった。

「こ、この人一体何人彼女居るの?」
「馬鹿、居ねえから安心しろ。シローは格好はチャラいがまぁマトモな部分はお前と大差ねぇよ」

お前もチャラいっちゃチャラいが、身は堅いし、一途だし、恋愛には一筋だからな。シローもそんな感じだ。
なんてあっちゃんが笑うものだから、俺はもう踊り出したいくらいテンションが高ぶっていた。

「そう言えばシローって呼んでるけど狼先生の本名って聞いちゃって良いものなの?」
「そこは先ずクリエイターネームのシローからスタートで良いんじゃねぇの?」

一応本名知ってるけど。と呟くあっちゃんにそれもそうだよねと頷いた。

俺達クリエイターは本名とは別に活動ネームを持っている。
勿論まんま本名の奴も居れば馴染みのあだ名の奴も居る。
所謂PNやHNみたいなものだ。
その仮の名前を呼び合って居る方が効率良く仲良くなるスピードが上がるもんだから不思議で仕方無い。

大体本名を知るのは仲が良くなって偶然そんな話題になった時。だから俺の本名を知ってる仲間も多くはない…が、あっちゃんがウッカリ俺を霙と呼ぶので何となくだけれども薄々気付いている仲間もそう少なくは無いんだろう。

因みに、俺のクリエイターネームは『霞』と書いてかすみと読む。
名前の由来らしきものは特に無いが、中学生の頃に部活で高校の先輩が俺の名前を見て、『カスミ』と読み間違えたのが始まりだ。
それからというもの俺はこの『霞』という名前を愛用している。
何せ当時憧れだった先輩が付けてくれた名前なんだからな。

加えて言うならあっちゃんのクリエイターネームは『赤い彗星』だ。もう某アニメから取ったのは言うまでもなくて、そんでもって赤い彗星って長いから、みんなは「あか」とか「彗星」とか、酷いと「赤井」と呼ぶ。
哀れな話しだが、本人はみんなの前では平気を装っていて、帰り道必ず俺に愚痴を零す。いっそ『シャア』にすれば良かったと。

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