恋愛アシンメトリー!
それだけは辞めて欲しい。
俺は言わずもがな、シャア・アズナブルの大ファンで有るし、キャスバル兄さんは心の天使。
加えてクワトロさんの虜なんだ!!
そんな崇高な相手の名を名乗るのは辞めて頂きたい。

って、話が大いに逸れた。
兎も角、狼先生の事はシローさんと呼べば良いのだろうか…。疑問に思って尋ねれば、そうそうと呑気な声が帰って来る。

シローさん。
まだ見ぬシローさん。
否、フライングで写メ見ちゃったけど、イケメン過ぎてさっきから心臓の爆音が止まらない。
こんなに格好良い人が俺を紹介して欲しいなんてあっちゃんに言うとは…人生何時何が起きるか解らないものである。

ん、もしや俺は遊ばれる運命なのか!?

「霙、声に出てる。安心しろって。シローはそんな奴じゃねぇし、お前は化粧すりゃ別人じゃねぇか」

あーはいはい。どうせ俺はスッピンヤンキー顔の化粧美人ですよーだ。

「思ったんだけどさ、あっちゃん…俺に対してと他の女の子に対してでかなり態度に差がないかい?」

何時も疑問に思ってた。
何故ならあっちゃんだけじゃないからだ。
あっちゃんの言葉を借りるなら、取り巻きの後輩達だって俺と他の女の子に対する態度が激しく違う。

一体、どういう事だ。

「決まってんだろ。損するか得するかだ」

は?

「だからぁ、お前をチヤホヤした所で大した見返りはねえだろ」

思わず右拳が唸りを上げたのは言うまでもなく、流石は金色以下略。見事に両手で俺の拳を抑え込んだ。

「見返り一々求めんな!」
「深い意味じゃねぇよ、霙と来たらリップサービスのリの字すら無いだろ?んなもんチヤホヤするより一緒に馬鹿やった方が楽しいって話だっての」
「成る程、そう来たか」

まぁ咄嗟のお世辞にせよ何にせよ、そういう風に言われて悪い気はしない訳。
そりゃ確かに俺はチヤホヤされるようなキャラじゃないし、実際された所で長年の付き合いな奴等にリップサービスくれてやるようなキャラでも無い。
一緒に馬鹿やった方が楽しいって言われればそれが嬉しい。

だが待てあっちゃん。
俺達もう、二十六歳なんだぜ?
そろそろ馬鹿やらかすのも控えるべきじゃなかろうかと思うんだが…。

「あっちゃんは結婚とか考えないの?」

「は?」

おっと唐突過ぎただろうか。

「男はさ、あんまり若い内に結婚しちまうと禄な事ねえんだよ」
「ああ成る程、遊びたい盛りな訳ですね、解ります」



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