純愛♡ごっこ
 

全身が強張った。



─ 刃物を出される?



怖くてたまらないのに、目を逸らしてしまいたいのに‥。

あたしは、シンの手から目が離せなかった。


「ほら、これやるわ。風俗行って抜いて来いよ。」



─ え?



あたしがシンの顔を見上げたのと


「え?どーゆーこと‥。」


右側にいた、あたしを殴った男が間の抜けた声を出すのと、同時だった。


「オレが貰うわ。」


シンは、お札を数枚、右側の男に渡し、あたしの腕を掴んだ。



売るとか貰うとか、人を物扱いしやがって‥


ムカついたけど‥。


もしかしたら、助かるかもしれない‥


あたしの中で、そんな期待が頭をもたげていた。


 
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