純愛♡ごっこ
母のあたしに対する虐待は、ずっと続いていた。
高学年になる頃には、理由も無く食事を抜かれることもあった。
六年生の春。
その日は始業式で、あたしは列に並んで、アリーナで校長先生の話を聞いていた。
不意に、後ろからトントンと肩を叩かれ、振り返ると先生が立っていて
「星野さん、ちょっと‥。」
難しい顔をした三十代半ばくらいの男性教諭に呼ばれ、あたしはアリーナを出た。
そして、両親の事故を知った。
「もうすぐ親戚の方が迎えに来られるから、職員室で待ってるようにな。教室から鞄を取って来なさい。」
「はい‥。」
悲しくなんか無かった。
─ パパとママが事故?!
死ねばイイのに‥
本気で、そう思った。