純愛♡ごっこ
 

母のあたしに対する虐待は、ずっと続いていた。

高学年になる頃には、理由も無く食事を抜かれることもあった。



六年生の春。

その日は始業式で、あたしは列に並んで、アリーナで校長先生の話を聞いていた。


不意に、後ろからトントンと肩を叩かれ、振り返ると先生が立っていて


「星野さん、ちょっと‥。」


難しい顔をした三十代半ばくらいの男性教諭に呼ばれ、あたしはアリーナを出た。

そして、両親の事故を知った。


「もうすぐ親戚の方が迎えに来られるから、職員室で待ってるようにな。教室から鞄を取って来なさい。」


「はい‥。」


悲しくなんか無かった。



─ パパとママが事故?!


  死ねばイイのに‥



本気で、そう思った。


 
< 114 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop