純愛♡ごっこ
 

「夕凪ちゃん!!」


不意に呼び掛けられ、ハッと我に返った。

振り返ると、血相を変えた叔母が立っていた。


瞬間、ソラは隠れ、あたしは、あたしになった。


ガクガクと膝が震え、全身が震える。

強く握りしめた右手から、叔母は包丁を取り上げた。


そして、素っ裸のあたしにバスタオルを掛けて、和室へと導いた。



忘れ物をして引き返して来たと、叔母は真っ青な顔で言った。

あたしに、この家から出て行くように言った。


何度も何度も“ごめんね”と、頭を下げていた。


 
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