純愛♡ごっこ
洗面台の鏡に映る自分の姿は、まるで別人で‥。
殴られた顔はパンパンに腫れ、唇はカサブタになっていた。
「ひど‥。」
こんなお化けみたいな顔で行ったら、陸くん、ヒくやろな‥
てか、顔のこと忘れてたし‥
やっぱ、断れば良かったかな?
シンへの隠し事は、これが最後だからと自分に言い訳をして
『買ぃ物イくね』
駐輪場から彼にメールを送り、あたしは自転車に跨った。
「寒いな‥。」
冷たい風が傷口にしみる。
その痛みを煩わしく感じながら、待ち合わせ場所に向け、あたしは自転車を走らせた。