純愛♡ごっこ
なんでか分かんない。
軽く手を振って歩き出した彼を、咄嗟に呼び止めていた。
「リクくん!ガッコまで送る。あたしの愛車で♪」
「え?マジ?助かり♪てか、運転すんのて、やっぱオレ?」
「うん、当たり♪」
陸が自転車を漕ぎ、あたしは、後輪に付けたステップに足を掛けて立った。
彼の肩を掴んで、冷たい北風と太陽の弱い日差しを浴びて‥。
制服姿の陸の後ろで、あたしも、ちょっぴり学生に戻った気分だった。
「やべ‥。坂、キツいし。」
「チャリ押して歩こ♪」
あたしと陸は、数十メートル先に見える高校を目指し、一緒に上り坂を歩いた。